はじめまして
このブログでは、ユーパックのデザイン・設計部門であるハコラボのメンバーが箱やダンボール、ものづくりに関するあれこれを綴っていきます。
記念すべき第一回は、木箱(ファルカタ)についてです。
木箱なら初期費用が抑えられる
木箱のいいところは、紙の箱やプラスチックの成形品と違い木型や金型などの初期費用が必要ないところが挙げられます。
木箱は、手加工もしくは機械により必要なサイズの板を切り出してそれらを接着することで作られるため“型”が不要なんです。
さらには、弊社の加工機械と職人の技術でお客様の細かなご要望を形にすることができるので、四角四面の箱に限らず意外と細かな加工ができるのです。
次はそんな箱をご紹介します。
こだわりの商品はパッケージにも手を抜きません
国宝姫路城のほど近くにあるわらびもち専門店「門藤」様よりご相談を頂き、黒蜜を入れた瓶の木箱をお作りしました。
門藤様は、国産の本わらび餅粉を使用したこだわりのわらび餅と、オリジナル商品の「わらび餅ドリンク」が大人気でテレビや雑誌でもよく取り上げられる注目店です。
ちなみに私のおススメは、わらび餅ドリンクWARAVITA-ほうじ茶ラテです。
さて、ご依頼いただいた期間限定の黒蜜は限定感や高級感が感じられる独特な形状の瓶に入っていました。
特殊な形状の瓶をどう収めるか
ストレートな形状の瓶とは違い、今回の瓶は上下で幅が違うため仕切りのないただの箱に入れるとゴロゴロと動いてしまいます。
そこで、まずは仕切りで首の部分をホールドします。瓶の首がフィットするよう仕切りには半円形の欠き取り加工がされています。しかし、このままでは首を中心に振り子のように動いてしまう状態です。
そこで職人さんと相談し、2×7センチのファルカタのピースを左右に詰めることにしました。(画像右の色付き部分)
たった3つのパーツで凹凸のある瓶もカッチリ収めることができました。
小さなピースが果たす大切な役割
こうした小さなピースは、日本酒の瓶に新酒の証としてつけられる首かけの木札にも使われています。姫路市林田で350年以上年続くヤエガキ酒造株式会社様では、毎年11月になると新酒が発売されます。数量限定のこの商品には、ロットナンバーが入った木札が下げられて出荷されます。4×9センチの小さな木札ですが、両面にシルク印刷を施し、表にはナンバリングの印字、上部には5ミリの穴を開け紐が通されています。
毎年この新酒の時期を待ち侘びているファンの方は多く、ヤエガキ酒造の方にお伺いしたところ
・毎年、木札を集めてくださっているお客様がいる。
・“木札の酒”と呼ばれるほど浸透している。
・料飲店では、飲まれた分の木札を壁や瓶に掛けPRされている。
と教えていただきました。
ともすれば普通の箱より手がかかっているかもしれないこの木札ですが、そこに込められた手間隙がこんな形でお客様に届いているのであれば作り手として嬉しい限りです。
ではでは初回はこんなところで。
K.Yamamoto
※現在は仕様変更により木札はついていませんが、いつか復活できれば嬉しいですね。
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