HOME > ブログ > Vol.15 猫に招かるる旅3〈行ってないけど群馬篇〜招き猫のルーツに迫る〜〉

Vol.15 猫に招かるる旅3〈行ってないけど群馬篇〜招き猫のルーツに迫る〜〉

k0top.jpg

実は前回の東京招き猫スポット巡りで、少し毛色の違う招き猫に出会っていました。

焼き物じゃなくて張り子?顔もなんだか独特です。

そうしたことを調べていくうちに招き猫のデザインのルーツや、金運やご縁以外にも猫に託されていた願いが見えてきましたのでシェアしたいと思います。れがこの群馬県高崎市で作られた張り子の招き猫です。

 


 

◆招き猫のデザインはお⚪︎⚪︎さんから?

招き猫といえば、白い肌に赤い耳、金の小判を持って…

何か似たものを思い出しませんか?

そう、稲荷神社のお稲荷さん(白狐)です。

京都伏見区の伏見稲荷大社は全国にある稲荷神社の総本宮です。そして、その伏見の地で作られる土人形が伏見人形です。様々な願いが込められた多様な姿の狐の伏見人形が作られました。

前回ご紹介した東京の今戸焼を含め全国各地にある全ての土人形の祖は京都の伏見人形と言われています。

時系列で見ると、伏見人形は400年ほど前(1600年代)に作られ始めました。

そして江戸時代に招き猫の前身となる今戸焼の丸〆猫が大流行します。

その人気ぶりは1852年の歌川広重の『浄るり町繁花の図』にも描かれています。

今戸焼の他にも、招き猫のルーツの一つである乙川人形の起こりにも、飛脚が伏見人形の手法を持ち帰り乙川人形を始めたとあります。

このような事実から、白い肌、赤い耳、小判といった招き猫のデザインの特徴は伏見人形の白狐ではないかと指摘されています。

参考文献 『招き猫百科』荒川千尋・坂東寛司 ㈱インプレス社

 

k0お稲荷様.jpg

白い肌、赤い耳、アクセントに金色。

 

 

伏見稲荷K00ac27445735_m.jpg

伏見稲荷大社 参照画像 https://photo53.com/#google_vignette

 

k1伏見人形3901968_m.jpg

伏見人形が全国各地に広がりそれぞれの地の土人形が発達しました。

 

i1浮世絵.jpg

図左上に招き猫を売る屋台。歌川広重『浄るり町繁花の図』1852年 国立国会図書館デジタルコレクション

 

◆似てるのはデザインだけじゃない

京都の伏見稲荷と言えば幾重にも連なる千本鳥居が有名ですが、この鳥居は願いが通る(叶う)ようにとの願いや、通った(叶った)お礼に奉納されたそうです。

実はこの鳥居にはもう一つの意味があるそうです。

“狐達は京都においては伏見稲荷大社、江戸では王子稲荷神社にて、多くの鳥居を飛び越えることで神位を上げていくという。”『江戸のおいなりさん』(塚田芳雄著 下町タイムス社)

そして、修行をするのは狐だけではありません。

“熊本県阿蘇郡に聳える根子岳(ねこだけ)は、猫達の修行の場として知られている。そこには猫の王が棲み、猫達は大晦日や節分に集い、また、「猫岳参り」と称して修行に励んだ。”『霊能動物館』加門七海 集英社

こうした言い伝えが残るのは、多くの人々が狐と猫のどちらにも神秘的な力を持つ者として魅力を感じていたからではないでしょうか。

 

k326923622_m.jpg

伏見稲荷の千本鳥居。これを飛び越えていくの?超ハードな修行です。

 

k4digidepo_1312354_00000020.jpg

王子稲荷では大晦日になると近くの大榎に狐たちが集まりこの木を飛び越えて高さを競った。

歌川広重『名所江戸百景・王子装束ゑの木大晦日の狐火』1857年 錦絵 国立国会図書館デジタルコレクション

 

 


 

◆張り子の招き猫

豪徳寺からの帰り道に少し雰囲気の違う招き猫を発見!招猫東京さんに入店してみます。お話を聞いてみると群馬県の高崎張り子で作られた招き猫だといいます。招き猫の多くは焼き物や土人形ですが、高崎では張り子のダルマ作りが盛んだったのでその技術で招き猫も作られているとのことでした。

すっごい眉とヒゲが濃いけど独特な表情がなんだかジワジワきます。欲しいかも…

この表情何かに似ていませんか?

そう、お気づきかもしれませんがダルマ職人さんが一体ずつ絵付けされているのでダルマっぽい表情なんです。

そんなうんちくを聞いてうちにお招きしないわけにはいきません。

招き猫は何匹いても多頭飼育崩壊することはないはず!どんどんお招きしちゃいます♪

 

k44特大看板猫.jpg

巨大な看板猫が手招きしています。

 

k0top.jpg

高崎張り子の招き猫。このなんとも言えない表情がかわいい。

 

k5高崎ダルマAC1213030_l.jpg

高崎張り子のダルマ。よ!いい眉上がりだね!

 


 

猫に向けられた切実な願い

猫の絵図を祀る文化は招き猫とは別のルートでも存在します。

明治以降輸出品としての絹の価値が上がり、養蚕農家は繭を作る蚕を鼠に食べられる事を防ぐため猫を飼いました。

しかし、猫は勝手に居なくなることもあるので、代わりとして絵図や張り子の猫が重宝されました。藁にも縋りたいほど鼠の被害が深刻だったのです。

養蚕業が盛んだった群馬県高崎市では、蚕が古い殻を破って脱皮する様を「起きる」と表現し、これが転じて七転び八起きのダルマが養蚕の守り神として祀られていました。繭と眉をかけてダルマの眉が蚕の繭のような丸みを帯びた形で強調して描かれているのが高崎ダルマの特徴です。https://tabi-mag.jp/unknownjp67/

ネズミ除けの守り神としての猫、「繭がよく起きるご利益がありますように」という招き猫への願い、そして高崎張り子の職人技が合わさり張り子の招き猫が作られるようになりました。

ということでダルマの産地の高崎で作られた招き猫は張り子でできているし、立派な眉をしていたんですね。

 

k6高崎ダルマ少林寺AC33830863_m.jpg

役目を終えたダルマは正月明けの15日か2月の節分ごろに焚き上げ供養されます。…見てみたい。

 

 

抹茶ネコ

「猫岳参り」修行に励んだ猫は化ける力を身につけたそうですが、高崎張り子の猫も化けるが如くあっと驚く姿を見せてくれます。

お店の前の自販機にはなんと抹茶色の高崎張り子の招き猫が。腹には茶の文字!しかも抹茶キャンディーがついてくるとのこと。更に話を聞きます。

招猫東京さんでは、高崎張り子の招き猫を通して日本文化を発信すべく様々な取り組みをされています。

この店舗兼アトリエでは、顔以外の絵付けを行っており、季節の花々などのモチーフが描かれていたり、希望する文字を書き入れてくれるサービスを行っています。まさに世界に一つの招き猫をゲットできるお店なのです。

その他にもルパン三世や涼宮ハルヒなど有名アニメとのコラボした招き猫などもあり、斬新なアイデアにわくわくしてきます。抹茶猫のその一つだったんです。

招き猫ファンとして招猫東京さんの今後に大大注目です!

 

k7自販機.jpg

自販機の中に招き猫。どういうこと⁉ってなりますよねw

 

k8抹茶ねこ.jpg

テンションが上がって「抹茶を塗っているんですか⁉」と聞いたんですが、そんなわけありませんでした。

 

88群馬張り子.jpg

様々なサイズと色の招き猫たちが並んでいます。迷いますね~

 

 

◆そうだ群馬、行こう。

いかがだったでしょうか。招き猫は日常の至る所にいるので深く考えることなく「縁起物」として受け入れていましたが、数ある縁起物の中でもここまでメジャーになるにはこうした歴史や人々の願いがあったのかと感心しました。そして張り子の招き猫の故郷の群馬に行ってみたくなりました。

ということで“ガチャ丸 招き猫”も連綿と続く招き猫の歴史のささやかな一つとなれれば嬉しいです。

それではまた。

 K.yamamoto

 

 

i5勢揃い.jpg

わが家の招き猫全員集合。開運間違いニャイ!

 

allstar.jpg

出身地を左から、愛知県常滑市、群馬県高崎市、兵庫県たつの市、東京は今戸神社と豪徳寺から。

Webストアはこちら

 

 

その他のニュース