
昭和50年代のユーパック社内の様子。左下にあるのは手彫り版か。
昔々ユーパックでは…
というのは少し大げさかもしれませんが、ふとしたことからダンボール印刷用の版が3~40年前までは手彫りされていたという事実を知りました。
そこで、当社の箱作りを製版の面から支えてくださっている城東製版の福貴社長にインタビューを実施。当時の話や手彫り版に込められた思いを伺いましたのでシェアします。
◆ 手彫りから始まった城東製版の歴史
城東製版の歴史は1974年ごろ、福貴社長の叔父様が大阪で手彫り職人をされていた縁で、前社長(福貴社長のお父様)が姫路で会社を興したことに始まります。
福貴社長は1993年に入社されましたが、当時はまだPCが普及しておらず、2003年ごろまでの約10年間はすべて「手彫り」で版を作っていたそうです。作業手順は以下の通り。
1)原寸図面に手書きしたりコピーを貼ってレイアウトする
2)文字や絵柄をトレーシングペーパーに写す
3)胴の縮みを計算して2を版ゴムに転写する
4)彫刻刀で版ゴムを彫る
5)図面のとおりに版ゴムを製版フィルムに貼る
デザインの内容にもよりますが、一つの版を仕上げるのにほぼ一日掛かったそうです。

間違いなく最も多く彫られたロゴ。版なので当然左右反転しています。

◆ ただの〇〇が一番難しい?手彫りの精巧さに迫る
手彫り版の世界で、腕の良し悪しが最も現れるのが正円だと言います。これが完璧に彫れるかどうかが、職人としてのステータスだったそうです。
他社の版や箱を見て研究し日夜腕を磨いてきたという福貴社長ですが、実際の手掘りの版を見てみると驚きの精巧さです。
写真は神戸マッチ様のブランドマークを掘ったものですが、0.5ミリにも満たない細かなライン、直径1.5ミリの円…これ1枚を30分程度で仕上げられるそうです。
そんな社長ですが、時には「濁点を誤って削り取ってしまった!」とか、版の色分けを間違ったりという冷や汗ものの失敗談もあったそうで、手彫りがなくなった今日では懐かしい思い出と言えますね。

止まり木の線はなんと0.3ミリ!まさに職人技です。

印刷されたものがこちら。版ゴムが硬いので印刷圧で少し凹んでいるのがわかります。
◆ 変わっていくものと変わらないもの
手彫り版が主流だった1990年代は、ダンボールの印刷機も現在のものより各色の版を合わせる精度が低かったのですが、お客様もそのズレを「味わい」として受け止めてくれるおおらかな時代でした。
現在は印刷機の精度もオペレーターの技術も格段に向上し、綺麗な印刷が当たり前になりお客様の見る目も厳しくなっています。
樹脂版はPCで作成したデータを元に正確に版が作成されるため精度も速さも段違いです。
かつては丸一日かかっていた作業も、5時間ほどに短縮されました。
今後は、唯一残る手作業である版の貼り込みの精度を上げていくことを目指されています。
「より良い版を作りたい」という職人の誇りは、10年間の手彫り経験を持つ福貴社長をはじめ社員の皆さんにしっかりと受け継がれています。
◆ おわりに
今回お話を伺ってみて、一つの版に込められた城東製版さんの思いと技術に改めて触れることができました。
こうして作られた版と、私たちユーパックの技術でこれからも正確で美しい印刷の段ボール製品をお客様に届けていきたいと思います。それではまた。
K.Yamamoto
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